指標は為替取引の道しるべ

kinkinきんきん

2011年09月10日 00:01

    指標は為替取引の道しるべ


為替レートはさまざまな要因が複雑に絡み合って変動します。そのため、ある要因だけを過度に信頼するのは危険と言えますが、経済指標は為替取引の重要な道しるべになります。



米国景気を占う雇用統計に大きな注目


ここでは、米ドル/円の取引を例にしてみます。米ドル/円の取引で為替市場の参加者が注目しているのは、日本の経済指標よりも米国の指標です。


米国経済の状態を判断する材料として、注目される指標が月次の雇用統計です。これは労働省が当月分を翌月最初の金曜日、ニューヨーク時間午前8時30分に発表するものです。雇用統計は10数項目で構成されていて、為替市場への影響がとりわけ大きいのは「非農業就業者数」と「失業率」です。


指標の市場への影響で注意したいのは、実際の数値よりも事前の予想との差が重視される事です。雇用統計を例にとると、非農業就業者数が予想より増えた場合はドル高の要因になります。

米国景気を見る上で、雇用と並んで注目されるのが消費動向です。消費大国の米国では、雇用の動きが消費に強く影響します。消費の代表的な指標が月次の小売売上高です。この伸び率が事前の予想よりも高い時はドルが買われる傾向にあります。



最近では、米国の経常・貿易赤字という「双子の赤字」への懸念が強まっているため、商務省が発表する月次の貿易収支も市場の関心を集めています。予想に比べ少ない場合はドル高要因と受け止められます。



指標やFOMCの発表に大きく反応する為替レート


08年12月1日に発表された、米ISM製造業景気指数が』当初の予想を大きく下回ったことで、ドルの下落を招きました。

また、指標では有りませんが、米国の金利政策を決めるFOMC(連邦公開市場委員会)も相場に大きな影響を与えます。12月16日、FOMCが金利を0・25%に引き下げると発表し、ドルが大きく続落しました。FOMC開催時は、発表される政策金利はもちろんのこと、そこでの要人の発言も相場影響を与える事があります。


09年1月9日の米国失業率の発表に際しても、前月から悪化して7・0%となると予想されていた中で、それをさらに上回る7・2%となったことによってドルが大きく下落するきっかけとなりました。

このように、指標やFOMCの発表が相場に与える影響は大変大きく、注意が必要です。

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